渋幕の国語からみる、読書の大切さ

中学受験も終わりを迎えつつありますが、毎年必ず確認しているのが、

渋谷学園渋谷幕張中学

の国語の問題です。特に記述問題。

渋幕は、長文は論説と小説の2題から出題されますが、小説に関しては登場人物のかなり深い心の動きが読み取れないと記述問題は答えられそうにないものが出ます。

今年度はこの本からの出題でした。


おらおらでひとりいぐも」です。2017年度の芥川賞受賞作です。

74歳、ひとり暮らしの桃子さん。
おらの今は、こわいものなし。

結婚を3日後に控えた24歳の秋、東京オリンピックのファンファーレに押し出されるように、故郷を飛び出した桃子さん。
身ひとつで上野駅に降り立ってから50年――住み込みのアルバイト、周造との出会いと結婚、二児の誕生と成長、そして夫の死。
「この先一人でどやって暮らす。こまったぁどうすんべぇ」
40年来住み慣れた都市近郊の新興住宅で、ひとり茶をすすり、ねずみの音に耳をすませるうちに、桃子さんの内から外から、声がジャズのセッションのように湧きあがる。
捨てた故郷、疎遠になった息子と娘、そして亡き夫への愛。震えるような悲しみの果てに、桃子さんが辿り着いたものとは――
(Amazonの内容紹介より)

中学入試に出題される国語は、小学6年生が解くには非常に難しいと感じるものがありますが、今年の渋幕の国語は主人公が74歳の小説でした。

ちなみに、この小説で出題された記述問題とその模範解答はこちら。

『問九 ──部5「飲むたびになぜだか愉快な気分になっている」とあるが、それはなぜだと考えられるか。七十字以上八十字以内で説明しなさい』

(解答)子供の育て方について母親として悩んでいたが、太母ののちの姿である山姥と自分を重ねたことで、自分の行いはやむをえいないものであったと悟り、開き直ることができたから。

11歳、12歳の子が74歳の子育ての気持ちを読み取って記述する、という、今年もなかなかの出題でした。

ただ、昨年度の方が記述は難しかったかな。

昨年度は芥川龍之介の「死後」からの出題でした。

そのときの記述問題の解答は

「再婚した妻を責めなじったことにたいして、妻の機嫌をとりなしつつ、仕方のないことだと自分自身にも言い聞かせ、不満な気持ちをおさえようとしている」

でした。

小6で、「妻を責めなじる」とか、「妻の機嫌をとりなす」とか、そしてその時に感じる「仕方のなさ」と同時に起こる「不満な気持ち」が理解出来ないと解けないのです!

小6で、この気持ちの読み取りが出来るレベルの子を取るのですね。

渋幕は、「こころ」も過去出題されております。
「こころ」は数多くの高校で教える小説ですが、高校生でこの小説に苦戦する子が多い中、渋幕の国語が解ける子は何人いるだろうか・・・

かなり深くまで登場人物の気持ちの動きをわかるには、かなりの読書量を必要としてます。

受験テクニックでどうにかなる内容でもありません。

小6になってから「さぁ、やろう」では遅いです。
もっと小さいうちから、読書に親しんでいないと!

是非、読書好きなお子さんになるよう、フォローしてあげてくださいね!