私がやっている個別指導の塾では、生徒さんの宿題に毎回「読書」を入れています。
私は授業の時に、生徒さんが読んできた本の感想を聞くのを毎回楽しみにしているのですが、先日の授業の時に、生徒さんが読んできた本はこの本でした。
2007年に出版され、野間児童文芸賞、坪田譲治文学賞をダブル受賞した本です。
この本は、大人になった主人公が人生のターニングポイントとなった、小学5年生の夏休みを思い出す回顧録のお話です。主人公である枝田光輝(あだ名は「えだいち」)は、勉強も出来ず、運動も苦手で、友達づきあいもあまりよくありません。事情により祖父と一緒に暮らし始めるのですが、それをきっかけに、母親と子どもだけの世界から、子どもだけの世界へと移っていく様子が描かれています。
ちょうど我が子(小学4年生)も、だんだんとママから離れつつあるので、読み進めながら、
あ~、確かに、こうやって私から離れていっているな
と感じました。と同時に、私が今まで子どもに接している態度は変わらないのに、その態度は子どもの年齢が上がるにつれて、だんだんと疎ましくなってくるるものなのだ、とも思いました。
子どもが赤ちゃんの時は、それこそ自分の事は二の次、三の次で子どものお世話しないとならなくて、それがつらく感じることも多々ありましたが、こうやってだんだん子どもが離れていくのを感じると、あの時にもっと楽しんでおけば良かったな、「抱っこ!」と言っていたときに、もっと抱っこしておけば良かったな、と感じます。
きっと、3年後ぐらいの私が今の私を振り返ると、学校であった事とか、楽しかった事、うれしかった事を子どもが色々お話している時に、「あの時にもっとよく話を聞いてあげれば良かったな」と感じるのだろう、とも思いました。
子どもが赤ちゃんの時、毎日ずっと泣いているので、
「泣いている時間より、笑っている時間が多い一日にしよう!」
と誓いを立てたのに、あれから時が経ち、気づけば
「早く起きなさい!」、「今日の宿題は?」、「お弁当出した?」、「これを片付けて!」
みたいな言葉ばかりが多く、子どもも私も「笑う」という日が過ごせていません。
お互いが「笑う」日々にしよう!と感じました。

きっと色んなことを感じ、気づくきっかけとなる1冊ですよ。